「もしかして、性病かも?」と感じる症状が出た時、認めたくない気持ちと恥ずかしい気持ちでなんとなく病院への足が遠のいてしまうことがありますよね。
でも、病気によっては自然治癒を期待して放置するのはとっても危険かも…。
今回は性病の一つ「クラミジア」について取り上げます。症状や感染経路、予防法などを説明していきます。
果たして「クラミジア」は自宅治療や放置で自然治癒を期待できるのでしょうか?
※本記事では性感染症(STD)全般を「性病」ともあわせて表記させていただきます。
Contents
もしかしてクラミジア?その症状って?
まず気になるのは

というところですよね。
クラミジアの病気についてのうんちくを語る前に、あなたが不安に思うところからお話を始めましょう。
あなた自身ではなく、パートナーの方に症状が…ということもあるかと思いますので、男女両方の症状をお伝えしますね。
女性の症状
クラミジアに感染すると約1~3週間で発症します。しかし、女性の場合は何も症状が出ない場合も多く、実際に症状が表面化するのは5人に1人なんだそうです。
その症状とは以下のようなものが挙げられます。

- 子宮頚管炎=下腹部の痛み
- おしっこの時の痛み
- 性交時の痛み
- おりものが増える(黄色の濃いおりもの)
- 不正出血
症状の主なものは「痛み」のようです。膀胱炎に近い痛みの感覚があるようなので、「痛み+おりもの」がある場合は要注意かもしれません。
とはいえ、先にも言った通り無症状のケースもかなりあるようなのでパートナーが変わったなどの心当たりがある方は早めに調べたほうが良さそうですね。
男性の症状
男性に関しても女性と一緒で、感染後1~3週間ほどで発症します。

- 透明~乳白色の水っぽい分泌物
- 尿道がむずかゆくなる
- 排尿時の痛み(しみる・灼熱感)
- 睾丸の圧縮や痛み
男性が性病にかかるとよくある分かりやすい症状は分泌物、いわゆるウミですが、クラミジアではそれが少ないかほとんどないこともあるため、こちらも感染に気づきづいんですね。
性器以外に感染した時の症状
あとにも少し触れますが、クラミジアは眼やノドにも感染することがあるんです。
眼への感染については通常の結膜炎とほぼ変わらない症状が出ますが、咽頭感染に関しては症状がほとんど出ないというの実情です。
性器感染が治癒しても、咽頭感染は無症状のまま放置されて、新たな感染のリスクになることが多いため、性器感染の疑いがある場合は念のため咽頭の方にも感染していないか確認するのが良いでしょう。
クラミジアってどんな病気?感染経路は?
さて、症状のご説明をさせていただいたところで、今度はクラミジアがどんな病気なのかということをもっと知ってもらいましょう。
もっと知ろう!クラミジアの豆知識
クラミジア感染症は「クラミジア・トラコマティス」という細菌が引き起こす粘膜感染で、なんと性病の原因の半数以上を占める病気なんです!
平成29年の厚生労働省による「性感染症報告数」では、約25,000人がクラミジアに感染。男女ともに約12,000人で感染の男女比はほぼ一緒ということがわかります。
その中でも、感染率は10~20代に多く、特に20代前半の女性では「15人に1人」がクラミジア感染症にかかっているんだそうです。
性行為への興味が高い反面、きちんとした知識を持ち合わせずに行為に及び、更に無症状の多さや耐えられる程度の痛みやかゆみしかない。
これら色々な要因が高い感染率に繋がっているのでしょう。
クラミジアってどうやって感染するの?
では、クラミジアはどのような経路で感染するのでしょうか?それは、

です。日常生活においての接触では基本的には感染することはありません。病原体を含む、
- 精液
- 膣分泌物
- 血液
- 唾液
といった体液が粘膜に付着することで感染します。通常の性行為で感染する『性器クラミジア感染』の他にも、
- 口腔性交(オーラルセックス)による『咽頭感染』
- 肛門性交(アナルセックス)による『直腸感染』
- 体液が付着した手で目をこするなどで起こる『クラミジア結膜炎』
などもあります。
どんな人が感染しやすいの?
性行為で感染すると知ると、その行為をすることもちょっと躊躇してしまいそうですよね。しかし、きちんと知識を持って行えば感染する可能性を落とすこともできます。
まず、どんな人がクラミジアに感染しやすいのか、それを知ることで予防法も見えてきます。
1.25歳以下の女性
先ほどの「性感染症報告数」のデータでもわかる通り、20~25歳女性の感染者は約4,500人にものぼり、他の年代・性別と比べても断トツの感染率です。
先程も触れましたが、知識が少ない・自覚症状が乏しいという状態で複数の相手と性行為を続けてしまうため、感染が拡大しているということが原因といえます。
2.頻繁にパートナーが変わる・複数と関係を持つ
クラミジアに感染してから発症するまでに1~3週間ということは前述のとおりですが、発症する前に不特定多数の相手と性行為を行うことで、病原菌をもらう、もしくはうつしてしまう確率が上がります。
3.避妊具を使用しない
避妊具の代表ともいえる『コンドーム』。これをしないと、病原菌を含む体液が簡単に粘膜に付着してしまいます。
また、経口避妊薬(ピル)を服用している場合に妊娠の危険性が低くなり、ついつい「コンドームしなくても大丈夫」と思ってしまいがちですが、性病の可能性は上がります。
中には、「妊娠しても中絶すれば…」という考えから、避妊をしない人もいるようで…。女性としてはこの考えはショックですね。
4.STD既往歴がある
STDとは性感染症全般のことを指す言葉です。
以前に性感染症にかかった経験がある女性は、その後も性感染しやすくなる傾向にあるそうです。
5.コマーシャルセックスワーカー
性的な内容のお仕事、いわゆる「風俗」で働いている方です。
1のお話とも繋がりますが、20代前半の女性がお小遣い稼ぎで気軽に風俗で働き、感染してしまうというパターンもかなり多いんです。
いまは出会い系サイトもスマホを開けばほぼ誰でも登録ができます。少ない小遣い欲しさに売春まがいの行為も平気で出来る世の中なので増えるのも仕方ないことかもしれません。
クラミジア感染の予防法は?
では、クラミジアの感染を防ぐにはどんな方法があるのでしょうか。それは、

これに限ります。もちろん細かく言えば
- 体液が皮膚に付着したらきちんと洗浄する
- 感染の疑いがある人との行為は避ける
- パートナーを限定する(お互いが感染していないことを定期的に確認する)
などがありますが、どれをとっても大前提は「コンドームをきちんとつけて行為をする」ということ。
「コンドーム=避妊具」というイメージが大きいですが、感染症を予防する重要な役割があることもしっかり理解して、安全なセックスのために着用を心がけましょうね。
クラミジアの自然治癒は…?
病院行くのが恥ずかしいなという方が一番気になる「クラミジアの自然治癒」。結論から言うと

症状が現れないからと放置するのもとても怖いことです。
クラミジアを放置したらどうなる?
- 子宮外妊娠や不妊症につながる
- 妊婦の場合は流産や早産のリスクや胎児への感染
- 前立腺炎
- 尿道炎
- 精巣上体炎
と様々なリスクが伴います。
女性では、将来妊娠を望む人も多くいるかと思います。しかし、クラミジアを治療せずに放置することで不妊症の確率が高めてしまうのは、やはりつらいですよね。
また、せっかく授かった子供に対しての影響も大きいと考えると、放置することが良くないことはおのずと理解できると思います。
よく聞く「自然治癒」の真相
とはいえ、巷では「治療しなくてもクラミジアが治った!」という話もチラホラあるようで。「火のない所に煙は立たぬ」とも言いますから、そんな話が広まるような出来事があったはずですよね。
それはいったいどんなものだったのでしょうか?この謎を解くには、まずクラミジア感染症の治療について知る必要があります。
クラミジア感染症は、男女共通で「抗生剤を内服する」ことで治療できます。
抗生剤は主に、扁桃炎や気管支炎など細菌が原因となる病気の時に処方されます。
クラミジアの疑いがある時に別の病気で処方された抗生剤を飲むことで、同時にクラミジアにも効果があり、
「知らないうちに治療していた」=「自然治癒」
という解釈になってしまったのではないかと考えられます。
しかしこの場合は、治療目的が違う抗生剤の内服なので、クラミジアの症状が「軽減した」に留まり、完全治療したとは言えないんです。
こういった誤った知識が、性病を拡大させる原因になるんですね。
自宅治療はできるの?
どうしても病院に行くのは恥ずかしいという方、仕事が忙しいという方は自宅治療も検討される方もいらっしゃるでしょう。
しかし、残念ながらクラミジアの抗生物質は、日本国内においては処方箋が必要なため自宅治療は難しいです。
個人輸入代行サービスなどを使えばインターネットでジスロマックと呼ばれる抗生物質を購入することも可能ですが、日数や手間、金額を考えると何もかもが無駄です。
そもそも安易な自己判断で薬を購入するのはとても危険です。
ただしどうしても病院に行くのが難しい、嫌だという方には自宅で性病検査が出来るキットは合法的に購入できます3,000円~10,000円くらいでクラミジアだけでなく様々なSTDを調べられるものがあります。
Amazon等でも購入できるので探してみてください。
ただし、あくまでこれは検査キットです。何度も言いますが、病気にかかってしまったと分かったら必ず病院に行ってください。
性病(性感染症)を甘く見ないで。
最後にもう一つ、性病(性感染症)を甘く見てはいけないというお話を。
後天性免疫不全症候群をご存知ですか?わかりやすく言うと「エイズ」ですね。性感染症の一つです。
性感染症の知識がない人でも「めっちゃ怖い病気」というイメージは、大半の人が持っているのではないでしょうか。
このエイズという病気、他の性感染症に感染しているとエイズの感染率が通常と比べて3~4倍に跳ね上がるということは、あまり知られていないかもしれません。
今回取り上げた性感染症「クラミジア」も例外ではありません。
どんな病気でもそうですが、病気に対する間違った知識や思い込みはもっと重篤な病気の引き金になることがあるということを、忘れてはいけないんです。
今の自分を大切にすることは、将来の自分だけでなく、これから出会うパートナーや産まれてくる子供も大切にすること。
ちょっとでも気になることがあれば「早期発見・早期治療」です。いまは自宅で簡単にしかも匿名で検査ができる時代。医学の進歩を上手に利用して、自分にも将来にも優しいアナタでいてください。
(参考サイト:厚生労働省「性感染症報告数」)